ひとくちに給湯器の凍結対策と言っても、ご自宅に設置されている給湯器の種類によって、その水抜きの方法は大きく異なることをご存じでしょうか。一般的に広く普及しているガス給湯器と、近年増えている電気でお湯を沸かすエコキュートでは、その構造が全く違うため、水抜きの手順も当然変わってきます。自分の家の給湯器がどちらのタイプなのかを正しく理解せず、誤った情報をもとに作業をしてしまうと、十分な効果が得られないばかりか、故障の原因にもなりかねません。 瞬間式のガス給湯器の水抜きは、比較的シンプルです。給水元栓を閉めた後、給湯器本体の水抜き栓を緩めて内部の水を排出し、家の中の蛇口を開けて配管の水を抜くのが基本的な流れとなります。構造が単純な分、手順を間違えなければ個人でも対応しやすいのが特徴と言えるでしょう。 一方で、エコキュートの水抜きは格段に複雑になります。エコキュートは、お湯を貯めておく「貯湯タンクユニット」と、空気の熱でお湯を沸かす「ヒートポンプユニット」の二つで構成されており、長期不在時などには両方の水抜きが必要となります。特に数十リットルから数百リットルものお湯を蓄えている貯湯タンクの水を抜く作業は、ガス給湯器の感覚で行うと戸惑うことになります。漏電遮断器の操作や、多数あるバルブの正しい開閉手順など、メーカーや機種によって細かく定められた工程を正確に実行しなければなりません。 もしご自宅の給湯器がエコキュートで、初めて水抜きに挑戦するのであれば、必ず事前に分厚い取扱説明書を隅々まで熟読してください。少しでも手順に不安を感じたり、作業が難しいと感じたりした場合は、無理をせずに設置業者やメーカーのサポートに相談するのが最も賢明な選択です。正しい知識に基づいた対策こそが、冬の安心を守るための最短ルートなのです。