冬の給湯器凍結対策を調べると、必ずと言っていいほど二つの方法にたどり着きます。一つは配管の水を完全に抜いてしまう「水抜き」、そしてもう一つは蛇口から少量の水を流し続ける「通水」です。どちらも有効な手段ですが、その特性は大きく異なり、状況に応じて適切に使い分けることが重要です。一体どちらの方法が、自分の状況にとっての正解なのでしょうか。 まず「水抜き」は、凍結防止策としては最も確実で効果の高い方法です。給湯器や配管から水を完全に取り除いてしまうため、そもそも凍る原因を根本から断つことができます。特に、帰省や旅行などで何日も家を空ける場合には、この方法が絶対的に推奨されます。しかし、その反面、作業には手間がかかり、復旧時にも正しい手順を踏む必要があります。日常的に、毎晩寝る前に水抜きをして朝に復旧させる、というのはあまり現実的とは言えません。 一方の「通水」は、蛇口を少しひねり、水を糸のように細く出し続けるだけという手軽さが最大の魅力です。水は流れている間は凍りにくいため、在宅中に迎える夜間の急な冷え込みなど、一時的な対策として非常に有効です。しかし、この方法は水を流し続けるため、当然ながら水道代がかかります。また、水の量が少なすぎると配管の末端で凍結してしまうリスクがあり、逆に多すぎれば無駄も大きくなります。あくまで数時間から一晩程度の短期間の対策と考えるべきでしょう。 結論として、この二つの方法に絶対的な優劣はなく、状況に応じた使い分けこそが正解と言えます。数日以上にわたって家を不在にする場合は、手間を惜しまず「水抜き」を行う。普段の生活の中で、明朝の冷え込みが特に厳しいと予想される夜には、手軽な「通水」で対応する。このように、それぞれのメリットとデメリットを正しく理解し、自分のライフスタイルやその時々の状況に合わせて最適な選択をすることが、給湯器を凍結から守る最も賢明な方法なのです。