賃貸アパートやマンションにお住まいの場合、給湯器のような備え付けの設備が故障した際の責任の所在は気になるところです。特に冬場の凍結による故障は、誰にでも起こりうる身近なトラブルだけに、その修理費用を誰が負担するのかは非常に重要な問題となります。自分の持ち物ではないからと油断していると、思わぬ高額な請求に驚くことになるかもしれません。 結論から言うと、給湯器の凍結による故障は、入居者の責任と判断されるケースがほとんどです。民法では、賃貸物件の入居者には「善良な管理者としての注意義務」、いわゆる善管注意義務が課せられています。これは、自分の所有物と同じように、借りているものを注意深く管理し、維持する義務があるということです。天気予報で氷点下になることが分かっていながら、水抜きなどの凍結対策を怠った結果として給湯器が故障した場合、この善管注意義務に違反したと見なされ、修理費用は入居者が負担することになる可能性が高いのです。経年劣化による自然故障とは、明確に区別される点を理解しておく必要があります。 そのため、賃貸住宅に住んでいるからといって、凍結対策を大家さんや管理会社に任せきりにするのは間違いです。むしろ、予期せぬ出費を避けるためにも、持ち家の場合と同様に、あるいはそれ以上に、自主的な対策が求められます。もし給湯器の水抜きの方法が分からない場合は、自分で適当に操作する前に、まずは管理会社や大家さんに問い合わせて正しい手順を確認するのが最も安全で確実な方法です。 冬が本格化する前に、一度、凍結対策に関する物件のルールや手順について確認しておくことをお勧めします。賃貸契約書に設備の使用に関する特約が記載されている場合もあります。自分の生活を守り、余計なトラブルを避けるためにも、借り物であるという意識を常に持ち、責任を持って給湯器の管理を行うことが、賃貸住宅で冬を快適に過ごすための秘訣と言えるでしょう。