それは、何の変哲もない日曜の昼下がりのことでした。我が家が誇る最新の節水トイレが、突如として反乱を起こしたのです。用を足してレバーをひねると、いつもの渦を巻くような洗浄音の後、便器の水位がゆっくりと上がり始めました。そして、下がる気配が一向にないのです。冷や汗が背中を伝いました。これが、テレビやネットで見たことのあるトイレの詰まりか、と。まずは落ち着こうと深呼吸し、インターネットで対処法を検索。多くのサイトで推奨されているラバーカップ、通称スッポンを物置から引っ張り出してきました。これさえあれば大丈夫だろうと、便器の排水口にカップを押し当て、渾身の力で何度も押し引きを繰り返しました。しかし、手応えは虚しく、私の腕が疲労するばかり。水位は全く変わらず、むしろ絶望感が増していきました。次に試したのは、お湯を流す方法。これも結果は同じでした。時間だけが過ぎていき、家族からの「まだ直らないの?」という無言のプレッシャーが突き刺さります。万策尽きた私は、ついに白旗を掲げ、専門の水道業者に助けを求めることにしました。到着した作業員の方は、手際よく専用の器具を使い、作業開始からわずか数分で問題を解決してくれました。原因は、数日前に子供が誤って流してしまった、小さなスーパーボールでした。節水トイレの複雑な排水路に、それが絶妙に引っかかっていたのです。この一件で、節水トイレの詰まりは自力ではどうにもならないことがあると痛感し、プロの偉大さを思い知らされました。そして、何でもトイレに流してはいけないという、当たり前の教訓を家族全員で再認識する、苦い一日となったのです。