洗面台の水の流れが悪いことに気づいた時、多くの人は慌ててパイプクリーナーを買いに走ったり、業者に連絡したりすることを考えるかもしれません。しかし、洗面台のつまりという不快なトラブルは、突然発生するように見えて、その実、日々の小さな汚れが静かに蓄積した結果です。一度詰まってしまえば、その解消には手間も時間も、時には費用もかかります。だからこそ、何よりも重要になるのが、詰まらせないための「予防」という考え方です。これから紹介する三つの簡単な習慣を実践するだけで、洗面台のつまりリスクを劇的に減らすことができます。まず、最も効果的で簡単な予防策が、排水口にヘアキャッチャーを設置することです。洗面台つまりの最大の原因は、洗顔や整髪の際に抜け落ちる髪の毛です。これが排水管の中で石鹸カスなどと絡み合い、ヘドロ状の塊となって水の流れを堰き止めてしまいます。ヘアキャッチャーは、こうした髪の毛が配管の奥深くへ侵入するのを物理的に防いでくれる頼もしい番人です。百円ショップなどで手軽に入手できるメッシュ状のゴミ受けや、使い捨てのネットを排水口に置くだけ。髪の毛が溜まったらティッシュでつまんで捨てるという、たった数秒の手間を惜しまないだけで、配管内部での深刻な絡みつきを未然に防ぐことができます。次に意識したいのが、定期的な「お湯流し」の習慣です。石鹸カスや皮脂、ハンドクリームといった油分を含んだ汚れは、低温で固まりやすく、配管の内側にこびりついてヘドロの元となります。これを防ぐには、週に一度程度、洗面台のシンクにお湯を溜め、一気に流すのが効果的です。温度は給湯器で設定できる四十五度から五十度程度で十分です。熱すぎるお湯は塩化ビニル製の排水管を傷める原因になるため、沸騰した熱湯を使うのは絶対に避けてください。このお湯流しが、配管内に付着し始めた油汚れを溶かし、大きな塊になる前に洗い流してくれます。
洗面台つまりは予防が九割日々の簡単習慣でトラブル知らず