冬の到来を前に、給湯器の水抜き方法や凍結予防策を熱心に調べることは、非常に賢明な行動です。しかし、どれだけ万全な対策を講じたつもりでも、想定外の記録的寒波や、ほんの些細な手順ミスによって給湯器が凍結してしまう可能性はゼロではありません。そんな万が一の事態に備える、いわば「最後の砦」として、皆さんが加入している火災保険が大きな助けになるかもしれないことをご存じでしょうか。 多くの火災保険には、「水道管凍結修理費用保険金」や「破損・汚損損害」といった特約が付帯していることがあります。これは、建物の給排水設備が凍結によって損壊し、修理が必要になった場合に、その費用を補償してくれるというものです。ここで言う給排水設備には、もちろん給湯器本体やそれに繋がる配管も含まれます。つまり、凍結によって給湯器が故障してしまった場合、その修理費用や本体の交換費用の一部または全部が、保険金として支払われる可能性があるのです。 ただし、補償を受けるためにはいくつか注意点があります。まず、凍結に気づいたら、慌てて自分で修理業者を手配する前に、必ず保険会社の事故受付窓口に連絡を入れましょう。保険会社によっては、修理業者の指定があったり、事前に承認が必要だったりする場合があります。また、保険金を請求する際には、被害の状況を証明する必要があります。凍結によって破損した箇所や、水漏れが起きている様子などを、スマートフォンで良いので写真に撮っておくことが非常に重要です。 言うまでもなく、給湯器の水抜きをはじめとする日々の予防策が、凍結トラブルを避けるための最善の方法であることに変わりはありません。しかし、それでも起こってしまった不測の事態に、金銭的な負担を軽減してくれる保険という備えがあることを知っておくだけで、冬を迎える心の余裕は大きく変わるはずです。本格的な冬が来る前に、一度ご自宅の火災保険の証券を手に取り、補償内容に目を通してみてはいかがでしょうか。
給湯器の水抜きと合わせて確認したい火災保険