洗面台のつまりといえば、多くの人が人間の髪の毛や石鹸カスを原因として思い浮かべます。しかし、犬や猫といったペットと暮らしているご家庭では、もう一つの見過ごせない原因が潜んでいることをご存知でしょうか。それは、愛するペットの「毛」です。特に、洗面所でお風呂に入れたり、ブラッシングをしたりする習慣がある場合、人間の髪の毛以上に厄介なつまりを引き起こすことがあるのです。 ペットの毛は、人間の髪の毛と比較して、細く、短く、そして柔らかいという特徴があります。この性質が、洗面台の排水システムにとっては非常に厄介な存在となります。細くて短いために、市販のヘアキャッチャーの網目をすり抜けてしまいやすく、排水管の奥深くまで容易に到達してしまいます。そして、その柔らかさゆえに、配管のカーブや接続部分で互いに絡み合い、まるでフェルトのような塊を形成しやすいのです。 このペットの毛でできたフェルト状の塊に、石鹸カスや皮脂といった粘着質の汚れが加わると、水を通しにくい強力な壁となります。人間の長い髪の毛であれば、針金ハンガーを加工したような道具で引っかけて取り除けることもありますが、短く絡み合ったペットの毛の塊は、そうした物理的な除去が非常に困難です。また、タンパク質を溶かすタイプのパイプクリーナーも、密集した毛の塊の中心部まで浸透しにくく、期待したほどの効果が得られないことも少なくありません。 ペットと暮らす家庭での洗面台つまりを防ぐためには、通常以上の予防策が求められます。ペットのシャンプーやお風呂は、できるだけ屋外か、排水口に専用の細かいネットを設置した浴室で行うのが理想です。もし洗面台を使う場合は、排水口に栓をした状態でお湯を溜め、シャンプーが終わった後に、桶などを使って毛を濾し取りながらお湯を捨てる、といった工夫が必要です。また、ブラッシングは洗面所以外の場所で行うことを徹底しましょう。 愛するペットが、知らず知らずのうちに家のトラブルの原因になっていた。そんな悲しい事態を避けるためにも、ペットの毛が持つ特有のリスクを正しく理解し、日々の生活の中で少しだけ特別な配慮をすること。それが、ペットと快適に暮らしていくための大切な知恵と言えるでしょう。
そのつまりペットの毛かも洗面台掃除の盲点