新築マイホームを建てた際、私はどうしてもトイレをおしゃれにしたくて、迷わず全自動洗浄機能付きのタンクレストイレを選びました。カタログに載っているホテルのような空間に憧れ、狭いトイレが広く見えるという営業担当者の言葉を鵜呑みにしたのです。しかし、実際に住み始めて数年が経過した今、当時の自分に「タンクレストイレはやめたほうがいい」と強く忠告したい気持ちでいっぱいです。最初の一年ほどは快適そのものでした。掃除もしやすく、自動で蓋が開閉する様子には満足感がありました。しかし、最初の異変は夏場に起きた近隣の落雷による停電でした。電気が止まった瞬間、トイレが流せなくなったのです。説明書を引っ張り出し、隠れた場所にあるレバーを探して操作しましたが、タンク式のように勢いよく流れるわけではなく、何度もバケツで水を運ぶ羽目になりました。トイレという生理現象を司る場所で、これほどまでの無力感を感じるとは思ってもみませんでした。さらに、致命的だったのは設置から七年目に起きた温水洗浄機能の故障です。ノズルから水が出なくなり、修理を依頼したところ、内部の電子基板の寿命だと言われました。ところが、その機種の基板はすでに生産が終了しており、修理ができないという回答でした。便座だけを最新のものに交換しようと思いましたが、デザイン性を重視した一体型だったため、市販の便座を載せることができません。結局、まだ十分に使えるはずの便器そのものをすべて撤去し、新しいトイレを一式買い直すことになりました。その費用は工事費込みで二十五万円を超えました。タンク式であれば三万円程度の便座交換で済んだはずなのに、デザインを優先した代償としてはあまりにも高すぎました。また、タンクレストイレに手洗い器が付いていないため、壁に設置した小さな手洗い場も掃除の手間を増やしています。子供たちが使うと周囲に水が飛び散り、壁紙にカビが生えそうになったため、結局リフォームでパネルを貼る追加工事も行いました。見た目の美しさは確かに素晴らしいですが、それはあくまで「すべてが正常に動いている間」だけの限定的なメリットです。家電製品を便器と合体させてしまったことの不便さを、故障して初めて痛感しました。次にリフォームする機会があれば、私は絶対にシンプルで頑丈なタンク式のトイレを選びます。流行や見栄えだけで選ぶのではなく、十五年後や二十年後のメンテナンスまで見越して設備を選ぶべきだったと、心から後悔しています。