家づくりにおいて、一階のメインのトイレにはこだわり、二階のトイレは予備的なものとして考える方は多いですが、その二階のトイレに安易にタンクレストイレを導入するのはやめたほうがいい明確な理由があります。最大の懸念点は、やはり水圧の減衰です。地上から高い位置にある二階は、一階に比べてどうしても水圧が低くなります。タンクレストイレは水道の勢いだけで洗浄するため、二階で他の場所、例えばお風呂やキッチンで水を使っている最中にトイレを流すと、極端に水流が弱まり、トイレットペーパーが詰まる原因となります。最近では低水圧対応のブースター付きモデルも登場していますが、これらは価格がさらに高価になるだけでなく、ポンプが水を吸い上げる際に独特の動作音が発生します。夜中に二階でトイレを流した際、その音が寝室まで響いて目が覚めてしまうという悩みは、設置した後にしか気づけない盲点です。また、漏水が発生した際のリスク管理という観点からも、タンクレストイレには不安要素があります。タンクレストイレは複雑な配管と電子制御弁を内蔵しており、万が一内部で水漏れが発生した場合、発見が遅れがちです。二階のトイレから水が漏れれば、それは一階の天井を汚損し、照明器具や家電を破壊する大きな被害に繋がります。シンプルなタンク式であれば、構造が単純なため水漏れの箇所を特定しやすく、また重力を利用した排水システムのため、機械的な故障による逆流などのリスクも低く抑えられます。さらに、コストパフォーマンスの面でも疑問が残ります。二階のトイレは使用頻度が一階よりも低いことが多いですが、タンクレストイレはその洗練されたデザインのために高額な初期費用を要します。さらに、手洗い場を別に作らなければならないため、その分の床面積も削られ、配管工事費も加算されます。狭い二階のスペースで、わざわざ手洗い場を設けるよりも、タンクの上に手洗いが付いているコンパクトなタンク式トイレを選んだほうが、スペース効率も良く、建築コストも数十万円単位で節約できるはずです。トイレという場所は、おしゃれさよりも「いつでも確実に、ストレスなく流れること」が最も重要です。二階という設置条件の厳しさを考慮すれば、機械的な信頼性が高く、水圧の影響を受けにくいタンク式を選ぶのが、長期的に見て最も賢明な選択だと言えるでしょう。