旅行や帰省から戻り、長期間留守にしていた家で給湯器の水抜きをしていた場合、まず初めに行うのがその復旧作業です。無事に凍結を防げたことに安堵し、一刻も早く暖かいお湯を使いたいところですが、ここで焦りは禁物です。実は、水抜き後の給湯器を再び使い始める際には、正しい手順を踏まないと予期せぬトラブルを引き起こす可能性があります。水抜きという予防メンテナンスは、安全に使い始めるための復旧作業まで含めて一つのセットだと考えるべきなのです。 水抜き後の給湯器や配管の内部は、水の代わりに空気で満たされています。この状態でいきなり給水元栓を全開にしてしまうと、勢いよく流れ込んだ水が配管内の空気を圧縮し、その圧力で配管や給湯器本体に衝撃を与えてしまうことがあります。これはウォーターハンマー現象にも似た状況で、機器の故障や水漏れの原因となりかねません。また、空気が適切に抜けないまま給湯器を点火すると、不完全燃焼やエラー表示を引き起こすリスクも考えられます。 安全に復旧させるための手順は決して難しくありません。まず、給湯器本体の水抜き栓が固く閉まっていることを改めて確認します。次に、家の中のお湯側の蛇口を一つか二つ、少し開けておきましょう。これは、配管に入ってくる水の勢いを和らげ、空気をスムーズに外へ逃がすための大切な工程です。その状態のまま、給湯器の給水元栓を全開ではなく、ゆっくりと静かに開けていきます。すると、開けておいた蛇口から「シュー」という音と共に空気混じりの水が出てきます。やがて空気の音がなくなり、安定した水の流れになったら、その蛇口を閉めます。他の蛇口でも同様のエア抜き作業を行うとより万全です。全てのエア抜きが終わったら、最後にガスの元栓を開け、給湯器の電源を入れて運転を開始してください。この一手間をかけるだけで、給湯器への負担を最小限に抑えることができます。 冬の安心を守るための水抜き作業。その最後の仕上げである復旧作業を正しく行うことで、初めてその効果が完結します。慌てず丁寧な操作を心がけ、大切な給湯器を長く使い続けましょう。
水抜き後の給湯器再開に潜む注意点