長年、街の水道屋として数多くの現場を見てきたベテランの技師に、トイレのトラブルについてお話を伺うことができました。彼が言うには、最も頻繁に寄せられる相談の一つが、ティッシュペーパーを流してしまったことによる詰まりだそうです。「皆さん、紙なら何でも一緒だと思っているかもしれませんが、私たちから見ればトイレットペーパーとティッシュペーパーは、鋼鉄と綿飴くらいの違いがあります」と、彼は苦笑しながら語り始めました。ティッシュペーパーは、水の中でも形を保つように作られているため、一度詰まると自然に溶けて流れることはまず期待できないのだそうです。もし流してしまった直後で、まだ水が引いている状態であれば、バケツ一杯の水を勢いよく流し込むことで、水圧によって押し流せる可能性があります。しかし、すでに水位が上がってしまっている場合は、その方法は逆効果になります。彼が推奨する家庭での第一選択は、やはりラバーカップです。「でも、使い方を間違っている人が多いんです」と彼は指摘します。多くの人は押し込む時に力を入れますが、実際には強く引く時に詰まりを動かす力が発生します。真空状態を作って、詰まりの塊を揺さぶるイメージで行うのが正しいそうです。また、最近インターネットで見かける「洗剤とお湯を入れる」という方法についても伺いました。これについては、中性洗剤が潤滑剤のような役割を果たし、わずかに滑りが良くなる効果はあるものの、ティッシュ自体の繊維を分解するわけではないため、過信は禁物だとのことでした。さらに、彼は「流せるティッシュ」という製品についても注意を促します。「流せると書いてあっても、一度に大量に流せば普通のトイレットペーパーよりも詰まりやすいことに変わりはありません。あくまで予備として、少量ずつ流すのが基本です」というアドバイスは、非常に説得力がありました。専門家として最も困るのは、お客様が自分で何とかしようとして、無理に棒を突っ込んだり、強い酸性の薬品を流したりした後で呼ばれるケースだと言います。配管を傷つけたり、有毒ガスが発生したりするリスクがあり、作業の難易度が格段に上がってしまうからです。「もし、ラバーカップで二、三回やってダメなら、その時点でプロを呼んでください。それが結果的に一番安く、早く解決する方法です」という言葉には、現場で培われた重みがありました。私たちの生活を支える水回りの平和は、こうした専門家の知恵と、私たちの正しい知識によって守られているのです。次にトイレで何かに困ったときは、彼の「無理をしない、深追いしない」というアドバイスを思い出すことにしましょう。
水回りの専門家に聞いたティッシュを流してしまった際の正しい対処