トイレをリフォームした知人の多くが、最初はタンクレストイレのスタイリッシュさに満足しながらも、数年後には「次は普通のタンク式にする」と漏らすのを耳にします。彼らが口を揃えてタンクレストイレをやめたほうがいいと言う理由は、日々の「快適性の質」が思っていたものとは違ったことにあります。タンクレストイレがもたらす快適性は、主に視覚的な解放感と、自動開閉などのガジェット的な利便性に偏っています。しかし、トイレという空間における本当の快適さとは、音の静かさや、気兼ねなく使える安心感、そして清潔さを保つための簡便さにあるのではないでしょうか。タンクレストイレの多くは、水道の勢いで一気に流すため、洗浄時に特有の「ブォーン」という機械音や強い流水音が発生します。特に夜中の静まり返った家の中では、この音が階下や隣の寝室まで響き渡り、家族の眠りを妨げる要因になることがあります。また、水圧不足を補うためのポンプ内蔵型であれば、その動作音も加わります。これに対し、タンク式は重力を利用して落水させるため、音の性質が柔らかく、最新の静音設計モデルであれば驚くほど静かに洗浄が終わります。また、手洗い場の問題も日々のストレスになります。タンクレストイレのために設置した小さな手洗い器は、ボウルが浅いために水跳ねが激しく、手を洗うたびに周囲の壁や床を気にしなければなりません。結局、トイレを出て洗面所まで手を洗いに行くようになり、ドアノブを汚れた手で触ることへの抵抗感がストレスに変わります。清掃面でも、一体型であるがゆえに、便器と便座の間の隙間を完全に掃除することができず、数年経つとそこから発生する微かな臭いに悩まされることがあります。タンク式であれば、便座を取り外して隅々まで磨き上げることが可能であり、経年劣化による臭い対策も容易です。結局、タンクレストイレは「新しいもの好き」や「デザイン至上主義」の欲求は満たしてくれますが、生活の道具としての究極的な使い心地や、十年単位での心の安らぎを提供してくれるのは、洗練された現代版のタンク式トイレだったというわけです。自分たちの生活において「何が本当に心地よいのか」を深く掘り下げれば、華美な機能よりも、素朴で信頼できる道具に囲まれることの豊かさに気づくはずです。
快適性を追求した結果タンクレストイレをやめたほうがいいとの結論