リフォーム雑誌やSNSの素敵な投稿を見て、今の古いトイレをタンクレストイレに変えたいと希望する方は多いですが、すべてのご家庭にタンクレストイレが適しているわけではありません。特に、特定の条件に当てはまるご家庭では、タンクレストイレのリフォームはやめたほうがいいと助言せざるを得ません。まず、第一の条件は「小さな子供や高齢者がいる家庭」です。タンクレストイレは全自動機能が充実している反面、操作がすべてリモコンやセンサーに集約されています。子供がセンサーを面白がって何度も流したり、逆に高齢者が複雑な操作に戸惑い、停電時やエラー時に自力で対処できなかったりするケースが多発しています。また、手洗い場が別になることで、子供が濡れた手のまま手洗い場まで移動し、廊下の床を水浸しにしてしまうという悩みもよく聞きます。タンク式の手洗い付きであれば、その場で完結するため被害は最小限で済みます。第二の条件は「予算を初期費用だけで考えている家庭」です。タンクレストイレは導入コストが高いだけでなく、先述した通り修理費も高額です。また、電気代も無視できません。温水洗浄便座を常に待機状態にし、センサー類を作動させ続けるため、シンプルなタンク式よりも電気使用量は多くなる傾向があります。さらに、一体型ゆえに将来の買い替えサイクルが短くなることも計算に入れなければなりません。第三の条件は「古い木造住宅をリフォームする場合」です。昔の家は水道管の設計が現在のタンクレストイレが求める基準を満たしていないことが多く、設置のために水道の引き込み管からやり直さなければならない事態になれば、リフォーム代金は跳ね上がります。また、壁の中に隠蔽配管を行う必要があるため、壁を壊しての大掛かりな工事になりがちです。最後に「トイレの中に独立した手洗い場を作るスペースがない家庭」です。無理やり狭い空間にタンクレストイレと手洗い器を詰め込むと、掃除用具を置く場所がなくなったり、立ち座りの動作が窮屈になったりします。これでは、せっかくのタンクレストイレの「空間を広く見せる」というメリットが相殺されてしまいます。こうした家庭環境や建物の制約を無視して、ただ「今風だから」という理由だけで選んでしまうと、リフォームの満足度は時間とともに低下していくことになります。自分の生活動線や将来のライフステージを冷静に見つめ直し、本当にその高機能が必要なのかを問い直すことが大切です。